規則正しい寝息と普段からは想像もできないくらいのあどけない寝顔。

その寝顔を見つめユアンは優しく笑み零す。

ロイド達にも見せてやりたいくらいの油断した顔。きっと、ロイド達と旅をしていた時にも見せたことがないだろう。

我々は無機生命体だから別に寝なくてもイイからな。って、その前にこいつが私の膝の上で寝ていること事態、ロイドたちからしたら有り得ないだろうな・・・

 

 

ユアンがその白い指で飛び跳ねたあかい髪を優しく梳かしていると、ひらひらと淡いピンクの花びらが落ちてきた。

クラトスの髪色に桜色はよく映えるなっと思いながら落ちてきたその花びらを指で摘みそっと春風に返す。

ふわりと心地よい風に遊ばれた空色の髪を片手で押さえまじまじとクラトスの寝顔を見つめた。こういう時でもない限りクラトスの顔などゆっくり見れない。

もし、目でも合ってみろ。私は緊張と恥ずかしさで耐えられないな。だから、見れるのはあの澄んだ目が目蓋で覆われている今だけ・・・

 

 


 

見た目より柔らかいあかい髪に長い睫毛、歳のわりに柔らかそうな肌に健康そうな唇。

 

 

 

「・・・キレイだ」

ふと心に思ったことが音となった。

この男は昔から無駄に整っている。でも、絶対本人には言ってやらない。

ちょっとした意地だ。

「好きだ・・・クラトス」

この言葉も滅多に言わない。だって、この言葉はマーテルにもアンナにも申し訳ない気がするから・・・・

 

 

その美しい顔に吸い込まれるかのようにユアンは己の顔近付けていく。

唇と唇が触れる前にそっと目を閉じると、不意に襟元を引っ張られぶつかる様にクラトスの唇に当たった。だが、それもほんの数秒で唇は離れ低くかすれた馴染みの声がした。

「そういうことは、起きている時に言え。」

ユアンは自由になった体の上体を起こしニタニタと笑うクラトスに不敵に笑った。

 

 

 

 

桜の樹の下、アナタと。

 

 

 

 

「言えるか、バーカ」

そう言ってユアンはクラトスに口付けをした。

 

周りでは桜の花びらが風に攫われ舞い落ちていた。

 

 


 

22:25の方様、300hitリクエスト有難うございます!!

あまりの嬉しさに舞い上がってしまいましたよー

「クラユアでほのぼの」っと言うことでしたので・・・・こーなっちゃたんですが・・・大丈夫でしょうか?!

クラトスさん一言しかしゃべってないし・・・orz

こんなので恐縮ですが、お気に召されたら幸いです。

 


 

2009/04/09 はるとわ 拝

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