時間的に「愛、故に」の後日の話です。

「愛、故に」、「願うこと。」の三部作のラストです。

まぁ、前作読んでなくても読めます。たぶん。

 

 

 

 

 

 

 

「ユアン、先日の約束のことだが・・・」

神妙な渋い声。相変わらずの無表情に無駄に綺麗な顔。

きっとまた私はコイツに振り回されるのだろうな・・・

さぁ、今度は何だ?この前のような耐久性の、その・・・アレ(「願いこと」参照)は無理だからな。あの時、ホントに苦しかったんだからな。しかも、お前があの後(「愛故に」参照)また証拠にもなく散々人の身体を好き勝手してくれた所為でこっちは大変だったんだぞ!?

あー思い出しただけで腹ただしい。殴りたい。

この無駄にキレイな顔を力いっぱいダブルセイバーで叩きのめしたい。

そんなユアンの気持ちを知ってか知らずかクラトスは何食わぬ顔で話を続けた。

「お前に女になって欲しい。」

その一言を聞いてユアンは固まった。

約束≠フ話が出ていた時点で嫌な予感はしていた。

だって、こいつが、こんなに、さわやかな、オーラを、出している、のだから。

きっと、碌な事を考えていないと思っていたが、まさにその通りだったな。

「・・・・クラトス、悪いがもう一度言ってくれないか?歳の所為かよく聞き取れなかったのだが」

自慢じゃないが、私も天使だから些細な音でも耳に入ってくる。だから、こんな目の前にいるコイツの言葉を聞き逃すはずはない。だが、もしかしたら、本当にもしかしたら、うっかり私の聞き間違いかもしれない。否、きっと聞き間違いだ。そうであって欲しい。

「だから、無機生命体を利用して女の体になって欲しいと言っているのだ。」

聞き間違いじゃなかった・・・orz

しかもこの4000年見たこともないくらいのさわやかな清々しい笑顔付だし。

「・・・正気か?」

「あぁ、私は至って普通だ。」

なんて、憎らしい涼しげな顔だ!!

「では、理由を聞こう。何故、私が女の身体にならなくてはいけないのだ?」

「それは・・・・」

今度は、ナニを言ってくれるのだ?お前はwww

ゆっくりと形のいい唇が動く。そして紡ぎ出されたコトバは・・・

「私の子を生んで欲しい。」

うっとりするようなセクシーな声。きっとこの声にアンナもやられてのだろう。

だが、生憎私は男だ。この4000年間変わらず男だ。しかも、マーテルという永遠の婚約者もいる。

確かに、このエクスフィアを使ったら女性の身体になれる。大昔に実験済みだ。私たちのエクスフィアはロイドの同様特別だからな。

そもそも、男の私がなぜ子など生まなければならないのだ。まさか・・・・アンナを失ってから女が怖くなったのか?それとも、口説く自信がないのか?

「大丈夫だクラトス、お前のその顔なら簡単に女を落とせるだろう。だからわざわざ、男の私が女になる必要はない。」

「私はユアンとの子供が欲しいのだ。」

・・・そう来たか。だが、私はお前の子なぞ孕みたくない。男が女になってしかも男の子を孕むなぞあってはならぬ。それに、ナニが悲しくて出産なぞ体験しなくてはならないのだ。あんな痛そうなのは嫌だ。

何としてでもコイツの思考を正さなければ、っと言っても私の意見など聞く耳も待たないか・・・・コイツは昔から言い出したら聞かないからな。

「あーっと、その・・・ロ、ロイドがいるではないか」

「ロイドはロイドだ。私は私とお前の子が欲しいのだ。」

クラトスはユアンに迫り、ユアンを壁際に追いやった。逃げれないようにユアンの顔の横に両手をつく。そして、顔を近づけユアンの瞳を真っ直ぐに見つめた。

ロイドの名を出せば少しは考え直すかと思ったがどうや逆に油を注いでしまったようだ。

真っ直ぐすぎるクラトスの視線に耐え切れないかのようにユアンはその瞳から目を逸らした。

「私は、いらない」

「何でも言うことを聞くと言ったではないか?アレは嘘なのか」

「約束は守る。だが、それは別だ。」

約束で子供を孕むなぞ何詐欺だ?!そんなことがあっては世の女性は迂闊に言うことを聞くなぞ懇願できないではないか。

「何故だ。」

「何故って・・・」

真っ直ぐすぎるクラトスの視線は相変わらず痛い。ユアンはどうしても口籠ってしまう。

「私は、お前の子を抱きたいのだ。」

そう言うクラトスの瞳は酷く優しく、ユアンは少し戸惑ってしまう。

「そ、それならば、私が他の女性に」

「それはならん。お前が例え女であろうと他の者と交わるなど許せない。お前に触っていいのは私、お前を鳴かせてイイのは私だけ。だから、私が父親になる。」

「はぁ・・・」

なんて、無茶苦茶な・・・この男はどうしても私に孕ませたいようだ。

ホント・・・気が知れない。私は私なりにクラトス、お前のことが・・・・

「さ、早く女になれ。子作りするぞ」

 

 

 

 

「そして、永遠に君と共に。」

 

 

 

 

拒否しても聞く耳を持たずユアンの服に手を掛け着崩し首筋に吸い付いてくるクラトスにどうしようとあれこれ考えて、ユアンは目を閉じスーッと息を吸い込みユアンは腹を括った。

ユアンはこれまで強制されて仕方なしに「好き」とか「愛してる」と言ったことがあるが未だ自ら言ったことがない。

だからきっと、私がはっきりしないからコイツも焦っているのだろう。マーテル・・・私は今でも貴女が好きだ。愛してる。でも・・・・それでも、私は・・・・

意を決したかのようにユアンは瞳をゆっくり開いた。

「クラトス、私は男でお前の子を孕めない。それで良いではないか?お前の妻はアンナ一人。子供はロイド一人。私とお前の子なぞない方がよい。」

逸らしていた顔を真っ直ぐ向けクラトスのあかい瞳を見つめる。鋭く、必死な瞳。

あぁ、食われそうだよ。マーテル・・・

ユアンは一息つきまた続きを言った。そのブルートパーズの瞳は不安そうに揺らいでいた。

「私だけではダメなのか?子が生せなくては私を愛してくれないのか?」

「違う。私はユアン、お前が好きだ。愛してる。」

ユアンの服を崩していた手を止めユアンの両肩に両手を置きクラトスは縋る様に言った。

「なら、何故子にこだわる?」

「子が欲しいのは・・・・お前を縛りたいだけだ。私だけではお前を縛れる自信がない。」

子が出来れば繋がりは切れない。そうクラトスはいつもからは考えられないくらいの頼りない顔でユアンに言った。

ユアンの肩に置いた手は酷く震えていた。

なんと言うか・・・・不器用な、否、言葉足らずで意地らしい。

だから、私はコイツを振り解けないのだろうな・・・マーテルとは違った愛しさが込み上げてくる。

「・・・ばーか。子なぞと回りくどいことをせずとも、素直に言えばいい『共に生きてくれ』と。」

ユアンは手を伸ばしクラトスの頭に回し固定させると、コツンとユアンはクラトスのおでこに自分のおでこをくっつけた。

「ユアン・・・」

「で、お前はどうしたい?」

「・・・これからの長い人生、私と共に生きてはくれないか、ユアン」

相変わらずの渋い声。さっきと違って迷いのない優しい響き。

「私は母や妻にはなれないが、私もお前と共に生きたいと思ってる。」

マーテル・・・アンナ・・・これくらいは許してくれるよな?

背伸びをしてクラトスに顔を近づけて初めて自ら言う言葉。

 

 

 

「愛してる」

 

 

 

驚いたクラトスの顔に満足してそのままユアンはクラトスに口付けた。

久しぶりに自ら口付けた唇は相変わらず酷く柔らかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

End


 

うーん。難産でした。このエンドに至るまで4作くらい書き直しましたよー

いつかそれもうpしたいですね。

 

クラトスがやたらと大量の中出しとか孕めとか言ってたのはユアンに自分との子供が出来ることによって血の繋がりってことでガッチガッチのぐっちょんぐっちょんに拘束したかったからです。

要するにクラトス→→→→ユアンの構図。

でも、ユアンもクラトスのことが無意識に好きだからクラトス→→→→←ユアンみたいなのをココで現したかったが、見事挫折・・・orz

 
 

ともかく、ユアンは自分がクラトスと幸せになることをマーテルやアンナに悪いと思っています。

クラトスさんは気持ちを切り替えて再婚相手兼ロイドの母はユアンしかいないと思っています。

 

最後まで読んでくださって有難うございます。

感想とか頂けると幸いです。

 

 

 

2009/04/27(2012/05/03改) はるとわ

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