「梅は咲いたか〜桜はまだか〜ってね」

花は心を和ませる。

天使さまも和めばいい。一時ぐらい慈悲深い女神様を忘れればいいのに。

手にした桜の枝を眺めて愛しの天使さまを思い描いた。

 

 

 

着いた目的地、テセアラベースの一室の扉を開けると爽やかな春の香りがしていた。

目当ての人はお休み中かいつもの執務机に向かってはおらず隣の部屋にある仮眠室にいた。

真っ白なシーツに横たわるユアンの回りには窓から風に乗って入ってきた無数の桜の花びらが降り積もっている。

まるで桜の精のように神秘的で美しい情景に息が詰まりそうになる。

「・・キレイ。ユアンさま・・・女神様より絶対キレイ。」

出会ったどんなハニーたちよりキレイで優しい俺さまの天使さま。

持ってきた桜の花を空色の髪に添えて、滑らかなシルクのような髪を一房掬い自分の唇に持っていく。

「桜姫に、差し詰め俺さまは花盗人かな?なーんちゃって」

キレイなキレイな天使さま・・・

こうしていると人間牧場とか神子抹殺とか考案した人物には到底見えない。

何も知らない、穢れのない純粋な神の遣い。

 

桜色と青い空

 

流れる髪は空の色を映し、白磁器のような白い肌は柔らかそうだ。ブルートパーズのような瞳を閉じ込めた瞼は未だに開かれない。

「・・・」

まだ目が覚めないのならキスくらいしてもイイかな、俺さまいつも言うこと聞いて頑張ってるし〜、そう思いゼロスはユアンに口付けた。

あ、柔らかい・・・

ふわふわしたマシュマロのような唇に満足し、起きない事をいいことにさらに長く口付けを施す。

舌入れたら起きるかなー?ってか、いくら自分の城と言えども油断し過ぎじゃない?

こんなんじゃぁ犯されても文句言えないな・・・

いつか実行できそうっとプランが思いつき自然と口元が緩む。

「ねぇ〜天使さまぁ、早く起きてよぉじゃないと俺さま、もっとヒドいことしちゃうよ?」

 

 

 

 

end


リハビリー作。セロユア。

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